世界的規模で鉄鋼ビジネスを推進するSCGM。
国境、そして⾔語や⽂化の壁を超える醍醐味とは
どれほどのものなのか、
グローバルな舞台で活躍する
先輩社員たちの声を通して、紹介していきます。
※写真をクリックすると、詳細情報をご覧いただけます。
※掲載内容は、インタビュー当時のものです。
メキシコ
薄板欧米部
(Servilamina Summit Mexicana S.A. de C.V.へ出向中)
2019年入社
長瀬 穣
コイルセンターと呼ばれるメキシコの鋼材加工会社で勤務しています。自動車、家電、送電設備などに使われる鉄鋼をお客さまの要望に合わせ、さまざまなサイズに加工する業種です。世界各国から鋼材を輸入し、時には輸出も手がける商社機能を併せ持った加工会社です。私自身は特定の自動車メーカーに遅滞なく鋼材を加工、納入するビジネスを担当しています。大規模な数量を扱う商売であり、それゆえに緊張、責任、やりがい、達成感を味わえるビジネスです。
メキシコについてさまざまな印象がありますが、メキシコ人は勤勉で日本人とのビジネスにおいて大きな困りごとはありません。数多くの日系企業が参入していることもあり、日本への理解も深く、互いにリスペクトしながら仕事ができる環境です。ただ、やはりスペイン語での会話が必要となる場面では、その都度、言語の壁にぶち当たっています。
海外に行っても住友商事グループのリソースをフルに活用できる点は強みです。鋼材関係にとらわれることなく、たとえば自動車分野に特化した現地住友商事のメンバーと情報交換が可能であり、その情報をお客さまに伝えることで感謝されるケースが多々あります。情報の適時適切な展開も、役割の一つとして期待されていると感じています。
「現地現物を見ることができる」。これに勝る魅力はありません。鋼材が実際にどのように加工されているか間近で見て学ぶことができ、自然と自らの説得・説明にも自信がついていきます。実際に現場に足を運び、現場スタッフと会話することで得られる情報も多く、他方、日本で培ったノウハウを共有することで互いに研鑽できる環境は素晴らしいと感じています。
メキシコ
薄板欧米部
(Servilamina Summit Mexicana S.A. de C.V.へ出向中)
2011年入社
上原 和樹
メキシコ国内にある3工場を所管するGeneral Managerとして、営業・運輸を主に管掌しています。大手自動車OEMおよび大手部品メーカー、地場家電メーカー向けの鋼板取引における価格交渉、受発注・在庫・物流・採算管理、30名以上に及ぶメキシコ人スタッフの労務管理など、業務範囲は多岐にわたっています。
世界のなかでもオープンな貿易政策を有し、世界最大の経済大国に隣接しているなど、メキシコは自動車・EVなどの産業にとって魅力あふれる立地環境です。だからこそ、鉄鋼流通業界におけるサプライチェーンの可能性を秘めた国と感じます。世界的な調達難やコロナ禍の影響を受けてもなお、さまざまな業界のお客さまから鋼材需要の声が日々聞こえてきます。
メキシコ・カナダを含めた米州住友商事グループ企業のネットワークの幅広さにくわえて、本社の情報リソースを活用できる点は心強いと感じます。また、現地では顧客基盤もあるため、変化の激しい環境のなか、グローバルな情報をもとにお客さまの事業をいかに機能的に価値あるものに創造できるかが、期待されているところです。
環境変化の激しい現場に身を置き、それをチャンスと捉えて経営者として挑戦できることが魅力です。使命感からくる緊張感には時折、身を削る思いと挫けそうな気持ちになることもあります。しかし、常に明るく、時々勤勉なメキシコ人スタッフとともに喜べる環境と風土に励まされながら、挑戦を通じて成長を実感できる土壌があります。
中国
薄板アジア第一部
(南京宝鋼住商金属加工有限公司へ出向中)
2008年入社
宋 育贇
住友商事が一部出資している、中国の南京宝鋼住商金属加工有限公司(以下、南京宝住)に出向中です。南京宝住は薄板を中心とした鋼板の加工・販売をメインとする会社で、そこで市場部副部長を務めています。主な仕事内容としては、会社の事業計画に基づき、市場部の販売戦略、仕入方針を定め、全力で経営目標の達成へと向かうこと。そして、重要顧客と重要サプライヤーとの優良な関係の構築、円滑に業務を取り進めるための社内外関係者との調整などです。また、顧客の戦略方針やマーケット情報、マクロ経済の動向などを把握し、適宜、経営層に有益なアドバイスを行うことなどが挙げられます。
現在、中国江蘇省南京市に駐在しています。ビジネス面においては、自動車鋼板の需要家として、市内に自動車メーカーが10社ほどあり、特に近年は新エネルギー車に特化した完成車工場の投資が増えており、日本と比べて新規のビジネスチャンスが続々と出てきています。ただし競争が厳しく、淘汰も早いです。実際、2018年には、多い時で同時に10件の新エネルギー車関連の新規プロジェクトを追いかけていました。しかし、2022年頃には、生き残ったプロジェクトはわずか3件のみでした。これだけ多くのチャンスがあるものの、失敗事例も多いため、顧客の財務状況や商品戦略、技術力、事業プランなど、その会社の将来性を見極めつつ、リスクヘッジを常に念頭に置く必要があります。慎重に、かつスピード感をもって営業活動を行わなければなりません。
現地で感じるSCGMの強みは、主に三つあります。まず一つ目は、日系鉄鋼メーカーとの強い信頼関係です。日本、中国のみならずグローバルで、かつほとんどの鉄鋼製品において、長年業務提携してきた歴史があり、強い絆で結ばれています。二つ目はお客さまである日系自動車メーカーとの強い信頼関係です。自動車メーカーの世界中の各製造拠点の近くに、SCGMの加工拠点が設置され、常にお客さまのお膝元でサービスを提供しています。また、鉄鋼製品のみならず、住友商事の他部門とも連携し、化学品や物流、自動車部品など多方面の業務提携を行っています。そして三つ目は、コイルセンターの経営管理における豊富なノウハウです。長年コイルセンターの経営実績があり、品質管理、生産効率、安全、整理整頓などの面において管理ノウハウが蓄積されているため、中国パートナーからよく管理アドバイスを求められています。
国が変わると、言葉や文化、食生活、気候、経済環境、価値観など、すべてが異なります。私にとって中国は母国ではあるものの、社会人として仕事するのは初めての経験でした。実際に来てみることで、中国ならではの企業文化やビジネスマナー、商慣習、接待文化など、思った以上に身についたことも多いです。たとえば、日本の思いやり精神、日本人の慎ましさや遠まわしな言い方が、中国では先方を困惑させてしまうこともあり、真意が伝わらないこともよくあります。それが日本との価値観の違いに気づく機会となり、その国の慣習に慣れようとするうちに、自分の考え方の幅も広がったと感じています。
中国
薄板アジア第一部
(上海頂鋒金属製品有限公司へ出向中)
2004年入社
劉 亜鵬
董事・総経理(取締役社長)として2018年4月より上海に赴任し、会社の経営管理に従事しています。上海頂鋒金属製品有限公司は、中国に進出する日系電機顧客にジャストインタイムの鋼板加工サービスを提供するため、1994年に住友商事が主導で設立した老舗事業会社です。時代の変化とともにビジネスの構成も変わり、現在では世界最大の自動車市場の中心地にある地理の便を活かして、自動車部品向けの鋼材ビジネスが主軸になっています。さらに自動車の電動化の波にも乗れるように、新規需要の拡販に注力しています。
仕事に対する見方や、進め方、判断のスピードは異なる部分を感じます。日本では、しっかり根拠を揃えて、関係者の意見を聞いて、十分に議論を尽くし、皆が納得したうえで結論を出すのが一般的です。一方、中国では、ビジネスチャンスを感じたら、ある程度の調査もしますが、議論や検討にはあまり時間をかけず、やるかどうかの判断をすぐに出して、実施に移ります。失敗も多くありますが、軌道修正しながら走る特徴があります。仕事も社会もめまぐるしく変わり、社会変化のスピードは速いと実感しています。
400年にわたり脈々と受け継がれ、住友商事グループの経営理念の原点にもなっている「信用・確実」の「住友の事業精神」は、現地でも感じるSCGMの強みの一つです。生産現場を持つ事業会社において「安全事故ゼロ、異材事故ゼロ」の目標を掲げ、顧客への供給責任を果たすことは、「信用・確実」を具現化するものだと考えています。それが顧客のみならず、鉄鋼メーカーなどのサプライヤーからも信頼され、ビジネスの維持拡大につながる原動力になっています。
中国出身の私は日本での留学、就職を経て、2016年に現地事業会社へ赴任するまで、毎年数回、数十回の海外出張で往来していました。現地の状況はそれなりに知っていたつもりでしたが、いざ本格的な駐在が始まると、未知なことが毎日のように出てきました。肌で感じる新鮮な感覚は絶えずありながらも、新たな問題に悩み、対応し、解決した後に得られる達成感と喜びは、私にとっての働きがいになっています。
UAE
薄板アジア第三部
(中東住友商事へ出向中)
2002年入社
三冨 哲嗣
中東地域における鉄鋼製品の輸出入取引を手がけています。日本に留まらずアジア地域からの中東地域向けの輸出取引や、逆に中東メーカーからの輸出などに携わっています。
ドバイは人口の9割が外国人と言われており、中東住友商事の社員はなんと全員がUAE以外の外国人です。お取引先へ行っても、本当に多彩な人種構成で、なかなかUAEの人には会えません。
改めて現地で感じる強みとは、まさに世界中に広がるネットワーク。世界中で同僚が働いていますが、コロナ禍でネット通話が当たり前になり、アクセスが容易になりました。東京本社は組織が巨大で、他の事業部門の方とお話しする機会は少ないですが、海外事務所では住友商事の他の事業部門の方とお話しする機会が多く、この横連携が強みとなっています。また、中東は産油国ですが、グリーンスチールへの取り組みが拡大中です。砂漠の地平線彼方まで広がる太陽光パネルで電気をつくり、この電気で水素を生産し、その水素でグリーンな鉄をつくろうとしているのです。脱炭素への取り組みにおいても、中東では大きく期待されています。
いろいろな国で働き、その国に住み、馴染むことで、その国への心理的な不安が一切なくなり、気軽に出かけられることです。現地の穴場観光スポットや、美味しいお店をたくさん知ることができます。世界が少しだけ小さく感じられるかもしれません。老後の楽しみにもなりました。
ベトナム
薄板アジア第二部
(Saigon Steel & Processing Co., Ltd.へ出向中)
2017年入社
小原 豪
住友商事とベトナム国有鉄鋼企業の合弁会社であるコイルセンターに出向中です。営業のトップとして、鋼材調達、価格交渉、顧客へのデリバリー管理、債権回収、在庫管理、新規顧客の開拓、新規需要発掘や、会社全体に関わる業績管理や種々の改善活動など、幅広く業務を担当しています。
ベトナム鋼材事業は、アジア地域のなかでも特に活気があり、競争の激しいマーケットだと感じています。鉄鋼メーカーが地場系・外資系ともに数多く存在している地域であることや、ホーチミン市周辺の比較的狭い地域に競合のコイルセンターが数多く存在しており、お客さまにとって材料調達の選択肢が豊富なマーケットなため、競合としのぎを削る毎日です。当社の付加価値をいかにお客さまへ提供できるかを考え、実行しています。
ベトナムに20社の事業会社・50名の派遣員を有する住友商事グループの一員として、「多岐にわたる商材」「蓄積されてきたノウハウ」「部門を超えた強固なネットワーク」を駆使できることが強みだと感じています。世の中のトレンドを踏まえ、「鉄を使って」より豊かな世界を創造することがSCGMのミッションであると認識しているため、これらの強みを活かして今後は、新たなニーズの発掘、お客さまへの新たな提案など、現状維持に留まらないアクションを実行していきたいと考えています。
ベトナムは成長著しいASEAN諸国のなかでも特に勢いがあり、鋼材需要もASEANでNo.1の国です。着々と建設の進む高層ビルや鉄道、露店で聞こえる乾杯の声、どれ一つとっても街や人々は活気に満ち溢れており、そのような環境下に身を置くことで不思議と自身もパワーをもらえます。また、当社の扱う鋼材の最終用途はインフラ関連、自動車、バイク、家電など多岐にわたります。あらゆる産業の活動をサポートしていることへの自覚と誇りを持ち、ベトナムの成長の一助となるよう、従業員とともに力を合わせ努めていきたいです。